白土三平さん
2021年10月27日
白土三平さん、自分は住んでいた地域と時代ゆえに貸本は経験しておらず、いちばん最初に通しで読んだ作品は『風の石丸』の単行本(60年講談社刊)でした。のちに東映のTVアニメ「風のフジ丸」に『忍者旋風』とともに原作として使用されましたが、その放映以前です。
単行本もまだ持ってますが表紙が取れてしまっていて見つからず。これは中扉ですが、素晴らしいポージングです。右手→左足→赤布と、髪→左手→顔→右足でXのクロス、そこへ刀の横平行線、という大胆な構図がかっこよすぎます。これはつまり奥から手前への放射線にも重なっている。右足に関節がなくストレートなのにも惚れますね。中扉右ページに鉛筆で描いた当時の私の落描きが残ってましたのでついでに。忍者ブームのころでありました。
『風の石丸』の次に読んだのは『2年ね太郎』だったかな。これは青林堂の単行本で。
少年誌で育った世代なので『サスケ』『ワタリ』『カムイ外伝』には当然ハマりました。『忍者武芸帳』『カムイ伝』はまだ小学生にはむずかしく、そのかわりそれらの中間に位置する作品として「忍法秘話シリーズ」と呼ばれる読み切り作品群があり、これがとくに大好きでした。昔から短編志向というかサスケやワタリやカムイより好きだったかもしれない。それぞれで完結している短編が主人公を変え連綿と続く大きな物語になっている構成にも驚きました。
これも貸本版は知らなくて「少年」や「別冊少年サンデー」に掲載された加筆再録版で読んでました。後年小学館漫画文庫でまとめて出たときには小躍りしたものです。日本住血吸虫症もケシ栽培もサツマイモ伝播も(一部俗説も含め)みんな忍法秘話で学びました。今思えば危険なマンガだったんだなあ。